クリスマスに思い出すこと
ウィーンに住んでいた時、12月は毎週いろんな国の友人とクリスマスパーティー三昧でした。
ある週末、同僚のフランス人の友人とジョージア(グルジア)出身の友人と一緒にトルコ人の友人宅でChristmas Dinnerをしました。
フランス人の友人がフルートを演奏してくれ、トルコ人の友人がおいしいトルコ料理を作ってくれ、とても楽しいひと時でした。
ジョージアという国についてあまりよく知らなかったので、
いろいろ聞いているうちに衝撃的なことを知り、クリスマスになるとその話を思い出します。
彼のお父さんは政治家で、当時のジョージアではいくつかの政党同士が対立状態でした。だんだんと彼のお父さんの所属する政党に危険が迫ってきたそうです。
ある日、いつも通り小学校で授業を受けていると先生に呼び出され、
「お父さんと逃げなさい」と告げられ、そのまま父と合流して電車に乗り込みました。何があったのかを後から聞いたら、学校に彼の所在を確認する連絡が入り、おかしいと思った先生は彼の父へ連絡。危険を察した父は息子を連れて逃げる決心をしたそうです。
しかし、途中で追手に気付いた父は息子を別行動させることにします。
「ここからは振り返らないで進め」と言われた彼は電車を降りて、森の中を歩きだします。数日間歩き続けオーストリアで倒れてしまったところを助けられ、それ以降はオーストリアで暮らしてきました。
現在も母国へ帰ることはできず、家族ともほぼ会えていないそうです。
生きてきた中で1番衝撃的な話でした。
彼は一緒にいる女の子が毎回変わり女の子に甘えるのが上手なちょっとチャラい感じのかわいい男の子です。
そんな彼の姿からは、「苦労なく愛されて育ったんだろうな」とばかり思っていました。
そんなものすごい経験を乗り越えてきたことを周りに感じさせずに、
いつも明るく楽しそうに生きている彼は本当にすごい人です。
今はもう30歳を超えたのかな。
当時は祖国を良くするために政治学を大学で学んでいました。
帰国後は疎遠になってしまいましたが、幸せになっているといいな。